看護學講座
解剖生理學
日野原 重明
pp.56-62
発行日 1947年4月15日
Published Date 1947/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906200
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Ⅴ.血液,組織液及びリンパ液 Blood, Lymph and Tissue Fluid
體液の循環
單細胞動物,例えばアメーバの樣なものは,生活に必要な酸素や榮養素を周圍の外界から直接とり入れることが出來る。然し多細胞動物では體を構成する諸々の組織の細胞は此等のものを直接外界からとることが出來ない。人間では酸素をとるためには肺胞の細胞が,又榮養物をとるためには腸管の細胞が働いて此等を吸牧し,血液の助けによつて末梢血管に迄運ぶ。血液の中の此等の成分は毛細管壁を通り抜けて組織中に入り,組織液となる。細胞は云はば組織液の槽の中に浴してゐるようなもので、組織液から生活必需物資を直接とり入れ,不要なものを排泄するのである。それ故人體の細胞は血液,組織液を媒介として呼吸し,榮養をとるのである。
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