卷頭言
生理學的統合へ
杉 靖三郎
pp.139
発行日 1952年2月15日
Published Date 1952/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905630
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自然科學は大きくわけると"生きたもの"を對象とする生物的科學(Biological Science)と"生きていないもの"を對象とする物理的科學(physical Science)とにわけられる。また生物的科學のうち,主として技能的なことを取扱うものをフイジオロギー(physiologie,生機學,または廣義の生理學)といい,形態的なことを取扱うものをモルフオロギー(Morphologie形態學または解剖學)という。
このphysiologieとmorphorogieとは,元々一體となつて"生きたもの"の理解に達することが出來るのであるが,前者は主として醫學關係で,後渚は主として生物學關係でとわあげられ,兩者は別々になつて專門分科してしまつたものである。また生體の機能の學であるphysiologieは,物理學的な方法を主とする生理學(Biophysik)と,化學的な方法を主とする生化學(Biochemie)とは,これも元々一體となつて,生體の働きの把握に資することが出來るものであるに拘らず,大學の講座(日本の大學の講座はドイツ流の分立的立場に立つものである)として,別々に分けちれ,また研究の上でもわかれわかれとなつてとり扱われているのである。
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