乳兒皮膚疾患に對するビタミンB6（アデロキシン）の効果—特に不完型ライネル氏剥脱性紅皮症並に乳兒脂漏性濕疹に對する効果

　Leiner氏剥脱性紅皮症と乳兒の脂漏性濕疹との異同については，今日尚諸家の見解に相異がある．殊に前者の不全型と見做されるものは全身の脂漏性部位を侵し，且つ皮膚症状が酷似する爲，往々後者との鑑別に困難を感ずる．唯，Leiner氏症は胃腸障碍を伴ふことが特徴とされている．

　最近東北大の松本氏は本症に對するビタミンB₆の著効を記載している．而して此の經驗例からLeiner氏紅皮症を汎發性漏性濕疹に外ならずとするJadassohnの説に賛意を表している．吾々も最近同様のLeiner氏紅皮症の不全型とゝもに幼兒脂漏性濕疹に齊しくビタミンB₆の治効を認めたので其の成績に就て此處に報告する．