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顔面皮膚癌のradon seed治驗例
福代 良一
1
,
仁木 富三雄
1
,
藤田 惠一
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.60-62
発行日 1950年2月1日
Published Date 1950/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200309
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最近我が教室で經驗した顔面皮膚癌の2例及びこれに行つたradon gold seed療法に就いて述 べる皮膚癌の約80%は顔面に發すると云はれるが,本2例も共に顔面に生じたもので,組織學的には棘細胞癌,これにradon gold seedを打込み,短期間に著效を見た.
第1例,田中某女,43歳,農家婦.初診,昭和23年3月20日.父方の祖父が胃癌で死亡したと云う.1年前左鼻口下に面皰樣發疹を生じ,漸次増大,その間サルワルサン注射,x線,軟膏療法等を受けたが效果なく初診時に及んだ.體格中等大,榮養,食慾普通,睡眠稍々不良.胸腹部内景に異常なく,血壓正常・血沈1時間に15.血液は赤血球402×104,白血球5,500,血色素(Sahli)93%,白血球百分率略々正常.血清梅毒反應陰性,マントー陽性,血清高田反應陽性.兩側鼻孔を取入れ,鼻尖から上口唇部に及んで胡桃大潰瘍を生じ,兩側鼻翼,鼻中隔とも侵蝕され,後者は約1糎奥まで缺損している.潰瘍は1部灰白色膿苔に被はれ,惡臭がある.潰瘍の邊縁は堤防状に隆起して硬く,蠶蝕性潰瘍を思はせる所見である.自覺的に疼痛はないが,時々かなり烈しい掻痒を覺え,時々鼻出血がある.レ線縁に骨の變牝は認められない.
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