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上半腎の完全水腫化した重複腎の1例
田林 綱太
1
,
平馬 秀彦
1
,
大井 鐵太郎
1
1東京醫科大學病院泌尿器科
pp.322-326
発行日 1949年8月1日
Published Date 1949/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200223
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1.緒言
余等は腎臓部に尿成分の内容を持たない大きな嚢腫状の腫瘍,恐らく腎の一部と見るのが妥當だがピヘロクラムでは腹腔腎であり,上部から強く壓迫を受け下垂壯又變形した腎とも考えられる腎盂像であつた例を手術した所見すべてに水腫化した重複腎で腎盂が2個,是から出た輸尿管も獨立していた恐らく不完全重複輸尿管で有たであろう.斯樣の診斷が前以て明かで有れば,以下に述べる樣な迷いもなしに操作し得た筈であり,本例に依つて教えられるものが有ると思われる.
斯樣な症例を文献に尋ねた所,昭和8年1月高橋明教授が佐藤氏と共に「孤立性腎嚢腫と誤診せられし重複腎盂兼腎臓水腫に就て」として報告されている.余等の例は上腎では有たが特に同樣の考えの許に取扱つたもので誠に良く似た症例である.
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