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膀胱癌の膀胱剔出術に就て
楠 隆光
1
,
井上 彦八郎
1
1東京大學附屬醫院分院(泌尿器科)
pp.198-203
発行日 1949年5月1日
Published Date 1949/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200186
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一般に悪性腫瘍の治療法としては,例へば胃癌に於けるが如く今日に於ても,早期診斷のもとに根治手術の可能の間に之を斷行するのが最善の方法である.しかるに膀胱癌に關しては一般に消極的であつて,放射線療法を主とする保存的療法が施行される場合が多く,根治手術,即ち膀胱剔出術は餘り省られなかつた.之はかゝる試みは既に60年前Bardenheuerが行つた處であり,續いてZuckerkandl,Scheele,Janssen,Wildbolz,Watson,Verhoogen,Reischmer,Petrow,H.H.Young等の大家も施行して見たが,尿管の處置が問題で,その死亡率の高いためであつた.
其後Coffey法の發達につれて次第にこれを實施する人々が現れたし,Beer,Federoff,Coffey,Hinman,Quinby,Higgins等は比較的好成績を收め得る様になつた.しかし最近になつても根治手術を支持する人は比較的少なかつた.即ち1939年Orr,Carson and Novakが文書により267名の米國外科醫にその意見を尋ねた所,根治手術の支持者は僅に8名に過ぎなかつた.
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