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皮膚科領域に於ける精製ブドウ状球菌トキソイギ治驗例
三浦 俊夫
1
1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.66-69
発行日 1949年2月1日
Published Date 1949/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200156
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緒言
活働性免疫療法として,病原菌の産生した菌體外毒素Exotoxinを人體に注射する場合,その猛烈な副作用を輕減する爲の手段としては,よく知られてゐる如く次の2つの方法がある.1)はBehringに從ひ抗毒素と菌體外毒素とを混合注射する方法で,2)は菌體外毒素を變化せしめその猛烈な毒性を減弱乃至消失させたもの,即トキソイドToxoidを注射する方法である.1)等の缺點がの方法は副作用の強い事,免疫の速成が困難な事ある.1)と2)との併用方法とも云ふべき抗毒素とトキソイドとの混合注射法(佐藤参照)に於ては,抗毒素の存在により活働性免疫の成立が多少とも阻害される缺點があり,且つアナフイラキシイに謝する顧慮を必要とする點が煩瑣である.茲に於て2)のトキソイド注射法に對する吾々の期待は大きい.
嘗てRamondが彼の所謂アナトキシン即ちデイフテリア菌の生産せる菌髄外毒素に對してフオルムアルデヒドを作用せしめて得たトキソイドによつて一世を風靡した事は餘りにも有名である.其の後,病原菌として臨床上頗る重要な地位を占める所のブドウ状球菌に於ても亦,その産生ずる菌體外毒素のトキソイド化が可能である事がBu-rnet・Ramond・細谷・兒玉等(小島2)参照)に依つて明かにされた.
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