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サルバルサン溶媒としての自家血液の應用に就いて
樋口 謙太郎
1
,
安藤 俊生
1
,
高森 通夫
2
1久留米醫科大學皮膚科泌尿器科教室
2國立大村病院皮泌科
pp.3-7
発行日 1949年1月1日
Published Date 1949/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200138
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緒言
サルバルサン驅梅法も種々の方法が提示されてゐるが,最も普遍的に從來慣用されてゐる1週1回法にしろ,或はホフマンの早期極量療法にせよ,早期梅毒の血清反應を陰性化するには少くとも3カ月以上を要する.
梅毒の徹底的治療は早期に大量を短期間に使用するにあることは言を俟たない.從來驅梅が不徹底の儘放棄されるのは治療が餘りに長期間を要し,その時間的經濟的の負擔に耐えきれないことが重大な原因となつてゐる.此れの對策として短期強力療法が要望されてゐるが,この事に就いてはさきにハイマンの持續點滴療法があり,本邦でも九大皆見教授及び土屋氏等の方法がある.しかし,大量療法の際困る事はその量と比例して副作用も亦高率且高度に發現する事で,之に對する對策が又問題である.これに關する皆見教室の成績によると,種々の溶媒を用いた結果グルタチオンビタミンB及Cが最も有効な事が判り,之等を必ず併用する事を推奨してゐる.猶,皆見教授の發案による自家血清を加温して,之を溶媒とする方法も甚だ有効である事が判つたが,只操作が面倒な嫌ひがある.最近千葉醫大百瀨氏は第1回に衝撃的大量を使用し漸次減量する方法を唱へ,副作用防止の方法として自家血液を使用した.但し採血の後コルベン内にてサを溶解し,注射器に吸引した残りの血液を更に食鹽水にて洗ひ再吸引するといふので相當手數を要する.
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