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汎發性結節症に就て
皆見 省吾
1
,
持尾 長年
1
1九州大學醫學部皮膚科教室
pp.1-3
発行日 1949年1月1日
Published Date 1949/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200137
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緒言
全身に亘つて結節を形成する疾患は可なりに存し,全身ならずとも可なり多數の結節を生ずるものもある.その代表者はレツクリングハウゼン病であるがこれは軟性纖維腫で皮膚に癒着し,さらに色素斑を併發する.多發性毛包嚢胞症は數が餘り多くはないが結局組織検査によらねばならぬ.またこれに類似する結節は粥腫症にも見られ,これについては臨床の皮膚泌尿1卷3號に掲載したが,これも組織檢査によつて定まる.結節性黄色腫は左程多數ではないが可なり夥しいこともある.併しその着色に依て診斷は通常容易い.結節癩は黄褐色で他の症状を示し,結節の組織液に菌が證明される.
嚢尾虫症は滿・鮮・沖繩等に多いとされ從來我々の見る機會が少かつたが復員・引揚者等に往々發見され,從來よりは増すことゝ思われる.我々も最近3例に遭遇し,その2例を醫學3卷3號に掲載した.單純肉腫の多發せるものでは發育が速で大さに不同がある.肉腫の轉移せるものは原發巣の不明な場合には診斷が困難である.何れも組織檢査を必要とする.我々の経験では肉腫の轉移よりも癌の轉移の方が多い.後者については診療と經驗7卷5冊に掲載したが,最近これに類似する例を見たので茲に執筆する次第である.がかる例にも往々原發巣の不明な場合がある.
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