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汎發性鞏皮症、特に頸動脈毬摘出の皮膚症状竝びにクレアチン代謝に及ぼす影響に就て
安田 利顯
1
,
笹川 正二
1
,
船橋 俊行
1
1東京大學醫學部皮膚科教室
pp.98-101
発行日 1948年8月1日
Published Date 1948/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200091
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汎發性鞏皮症には屡々筋肉變化が認められ、同時にクレアチン尿を證明する。Epsteinは鞏皮症6例中3例にクレアチン尿を、2例にクレアチン負荷によつて初めて證明される程度の潜伏性クレアチン代謝異常を認めたが、氏は斯等クレアチン代謝異常は鞏皮症そのものに直接關係なく、鞏皮症に於ける筋肉萎縮の所産であるとした。然るに鞏皮症の原因は今日所謂多腺性内分泌機能障碍に求められてゐる一方に於て、クレアチン代謝亦各種の内分泌腺、殊に鞏皮症に關係深い腦下垂體、甲状腺、生殖腺等によつて左右される所大きく、されば鞏皮症に於けるクレアチン尿の發生機序にはその單に筋肉萎縮に基づくよりも、遙に複雜且つより根本的なものがあると思はれる。そして事實としてはクレアチン尿は大體鞏皮症の症状に平行して消長する樣である。
最近余等は1例の汎發性鞏皮症に對し、その症状の引續き進行し、殊に萎縮性變化の新に認められる状態に於て頸動脈毬摘出を試み、明かに皮膚症状に對する好影響を認めた。頸動脈毬の摘出は今や各種皮膚疾患に行はれ、皮膚症状の好轉を見ること尠くないが、その皮膚症状とゝもに全身状態に與へる影響にはなほ不明な點が多い。偶々余等の1例では皮膚症状の變化とゝもにクレアチン代謝の上に顯著な影響が認められた。
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