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ヱスチオメーヌを伴ひたる第四性病性直腸狹窄の2例
山崎 元吉
1
1熊本醫科大學今永外科教室
pp.104-110
発行日 1947年4月1日
Published Date 1947/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200026
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緒言
第四性病は好んで青壯年を犯す性病の一種であつて,其の病原體は今日未だ確定を見るに至らないのであるが淋巴系統に高度の嗜好性を有し,一度體内に侵入するや直ちに局所淋巴腺の腫脹を見るを以て鼠蹊淋巴肉芽腫症の名があるのである。而して本病は熱帶地方又はこの地方を航行せる船舶の船員に多く見られたが故にStrumösr Bubo叉はKlimatische Buboとも稱せられ,後歐洲に於ても發見せられ,ニコラーフアブル氏病とも呼ばれる如くなつた。而してこれ等種々の名稱を有する疾患が全く同一なるものであることが明らかとなつたのは1925年に發表せられたフライ氏反應に負ふものである。從つて本病と炎症性直腸狭窄女はヱスチオメーヌとの關係も漸く最近に至つて闡明せられたもので,1928年Frei及びKoppel兩氏は,これ等の病變を有する患者に於てフライ氏反應が100%に證明せらるゝ事實より,第四性病をその原因であると認めたのである。
その後或は病理組織學的方面より,或は動物實驗により,陸續として各種の研究報告出現し,直腸狹穿又は,ヱスチオメーヌと第四性病との緊密關係は,今日もはや疑ふべからざるものとなつたのである。
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