特集 心エコー 何をどこまで評価できるか?
Ⅰ. 心機能を心エコーで評価する
エコーを用いてうっ血をどのように評価するのか?
香山 京美
1
,
瀬尾 由広
1
1名古屋市立大学病院循環器内科
キーワード:
Guytonの法則
,
unstressed volume
,
血行動態的なうっ血
,
臓器うっ血
Keyword:
Guytonの法則
,
unstressed volume
,
血行動態的なうっ血
,
臓器うっ血
pp.204-212
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200785
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
POINT
・心ポンプ機能異常が生じた結果,心拍出量を維持するために前負荷=静脈還流量を増加させ,中心静脈圧は上昇する方向へ代償機転は働く.Guytonの循環平衡理論に説明されるように,個々の患者がもつ心拍出量曲線に応じて至適な静脈還流量を維持する中心静脈圧,すなわち循環平衡点が存在する.
・臨床的なうっ血が解除されても,血行動態的なうっ血が残存している場合がある.うっ血の残存は不良な予後との関連が示されており,低心拍出・低還流に陥らず,かつ,うっ血も来さない循環平衡点の見極めが求められるが,その評価は容易ではない.
・臓器の静脈で記録できるドプラ波形は中心静脈圧との相関が報告され,近年注目を集めている.臨床的に心不全徴候が解除されても臓器うっ血の残存する症例があり,治療開始後に腎静脈ドプラ波形に代表される臓器ドプラ波形の経時的変化を追跡することで,至適な循環平衡点を探る一助となる可能性がある.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.