特集 これからの高齢者診療—循環器医が人生100年時代にどう向き合うか?
序文
大石 充
1
1鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学
pp.4-5
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200439
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超高齢社会の日本では90歳代の心不全入院は決して珍しいものではなく,むしろ当たり前の光景としてとらえられている.TAVIや心臓リハビリテーションの登場により,循環器医に無縁だった“フレイル”や“サルコペニア”,“認知症”といった概念が循環器領域で当たり前のように使われるようにもなってきた.高齢者は疾患を多く抱えるのみでなく,社会的背景や人生観も個人差が大きく,何より体力・知力的な衰えは千差万別である.人生100年時代の現代では,循環器疾患を診療する際には疾患のみを診断・治療するのではなく,高齢者の日常をどう評価して治療に応用していくのかが極めて重要であると考えている.この点に関してはフレイル・サルコペニア・認知機能・栄養の評価および評価法の概念としてのCGA(高齢者総合的機能評価)を,各専門の先生からご解説いただいた.
また,昨今の医療技術の発展スピードは凄まじく,循環器領域ではTAVIのみならず様々な最先端技術が診療に導入されて安全かつ確実に治療がなされる分野も多い.自分の専門分野外となると診断・治療・技術の進歩に追いついていっていないことも多く,それが高齢患者の不利益になってはならない.これに関してはPCI・CABG・TAVI・MitraClipの各専門分野の先生方からご解説をいただいた.
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