特集 てんかん分類へのアプローチ
序文
島薗 安雄
1
1東京医科歯科大学神経精神医学教室
pp.396
発行日 1972年5月15日
Published Date 1972/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405201883
- 有料閲覧
- 文献概要
1945年,Lennoxによって,小発作には大発作や精神運動発作に有効とされてきた薬が効かずoxazolizine誘導体のTridioneが特効的に効くということが報告されて以来,同じくてんかん発作といっても,その種類によって薬物療法の内容を区別せねばならないことが強く認識されるようになった。その後,いわゆる精神運動発作に比較的よく効くという薬があらわれたり,また普通の抗てんかん剤に全く反応をしめさなかった点頭てんかん(infantile spasms)の発作が,ACTHの投与によって劇的に抑制されるというようなことが経験され,上記のことの重要性は,すでに広く認められているように思われる。このようにてんかんの薬物療法はきめの細かい投薬の工夫によって行なわれなければならないが,それでは,どういう形の発作に何の薬を選ぶべきかという問題になると,その基礎となる経験の集積は未だ不充分なのが現状である。
今後,多くの人々の経験を集めて,この点を明らかにしていくことが望まれるが,そのためには,まず個々の患者の示す発作形をどのように分類するか,ということについて,ある程度統一した見解を出しておく必要がある。1964年と1969・1970年にてんかん発作の分類に関する国際的な試案が出されたのも,このような主旨によるものと思われるが,われわれとしてもこの問題を考えてみたいし,また,わが国の中だけでみても同じ用語がいろいろ違った意味に使われていて統一がないので,この点を検討する必要があると思われる。
Copyright © 1972, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.