特集 肺高血圧症Cutting Edge
Ⅳ.肺高血圧症治療:内科的治療と外科的治療,そして将来の治療
分子標的療法の現状と今後
片岡 雅晴
1
1慶應義塾大学医学部循環器内科
pp.432-437
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1438200174
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Point
・分子標的療法は,動物実験を通じて,肺血管細胞の増殖抑制作用などを介し肺高血圧症に治療効果をもたらすことが確認されている.
・イマニチブを用いた肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する国際共同臨床研究(IMPRES study)を受け,治療効果はあるものの副作用の発生率が高いことから米国審査当局で治療薬として認可されなかった過去がある.
・われわれの研究報告でも,難治性重症PAHに対して致死的な状態から救命するための最後の一手として,ソラフェニブが可能性を秘めていることを確認した.
・3系統の血管拡張薬が適応ではない肺静脈閉塞症に対しても,ソラフェニブが治療効果をもたらすことも確認された.
・今後は,分子標的療法を選択することがふさわしい肺高血圧症の患者層を適切に判断して投薬するという個別化医療の実現に向け,さらなる基礎研究と臨床データの蓄積に努めていく必要がある.
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