Japanese
English
研究と報告
失認と妄想の精神病理—とくに錯認(Paragnosie)について
Psychopathology of Agncsia and Belusion, especially about Paragnosia
越賀 一雄
1
,
浅野 楢一
1
,
今道 裕之
1
,
竹内 邦夫
1
,
松田 良一
1
K. Koshika
1
,
N. Asano
1
,
H. Imamichi
1
,
K. Takeuchi
1
,
R. Matsuda
1
1大阪医科大学神経科
1Dept. of Neuropsychiat., Osaka Medical College
pp.967-971
発行日 1965年11月15日
Published Date 1965/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405200923
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われわれはアルツハイメル氏病と推定される1例の患者について,ゲルストマン症候群に加うるに健忘,失見当識をきたし,実物の認知に粗大な障害はないが,絵画,とくに略図の認知に顕著な失認を呈する図形失認の1例について報告し,同患者が写真の一部分のいちじるしい誤認をきたし,ひいては全体の著明な錯認Paragnosieをきたすことを指摘し,それらの症状を大脳病理学的に抽象的行勁の概念によつて説明し,さらに知覚と行動の不可分な関係に言及し,つぎに同患者に現われた妄想様症状と精神分裂病の妄想との構造の相異について考察し,精神分裂病の妄想では全体が先行し,部分が先行するかに見えるときも,その部分にはすでに変容したかたちの全体が反映しており部分と全体とは相互に移行し合つているに対して,Paragnosieを伴う失認患者の場合,妄想様症状は部分の誤認から部分の誤認へと一方的に付加されて形成され,そこには全体との関連が失われていることを指摘した。
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