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Topics
神経膠芽腫に対する新たな分子標的療法—グルタミン酸受容体阻害剤
Development of a Novel Targeted Therapy for Human Glioblastoma
石内 勝吾
1
Shogo ISHIUCHI
1
1群馬大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, School of Medical School, Gunma University
キーワード:
brain tumor
,
glioblastoma
,
glutamate receptor
,
AMPA
,
targeted therapy
Keyword:
brain tumor
,
glioblastoma
,
glutamate receptor
,
AMPA
,
targeted therapy
pp.495-500
発行日 2003年5月10日
Published Date 2003/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902385
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Ⅰ.はじめに
グルタミン酸は主要な神経伝達物質であるばかりでなく,生体内において幅広い代謝機能を保有している.実際,グルタミン酸を介するするシグナル伝達は中枢神経系に限定していると考えられていたが,最近の研究によって,神経系以外の細胞一骨芽細胞,破骨細胞,血小板,表皮細胞,膵島細胞,味蕾細胞や肺,肝臓,心臓,腎臓と副腎においても,グルタミン酸受容体が発現していることが報告されている5,18).中枢神経系においては,グルタミン酸は胎生期における神経系細胞の増殖・遊走と分化に重要な役割を果たすことが,再認識されつつある.高い増殖性と遊走性はまた,癌細胞の細胞生物学的特性でもあることから,この受容体と癌細胞との関連が最近話題となっている11).
本稿では未だ本質的な治療法の確立が遅れている神経膠芽腫に対するグルタミン酸受容体の病態生理学的意義について概説し,後半では新たな分子標的療法について,グルタミン酸受容体の中の,特に胎児脳やグリア前駆細胞の一部に認められるカルシウム透過型グルタミン酸受容体を標的とした治療法の可能性について言及したい.
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