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Ⅰ.はじめに
脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血を予防するためには,血管内塞栓術を含めた外科的療法によって破裂する前に脳動脈瘤を治療する以外に方法はない.近年わが国では脳ドックが普及し,それに伴い未破裂脳動脈瘤が発見される頻度が増加している.しかし,これまで一定の地域における脳ドックの性・年齢別受診率を調査し,未破裂脳動脈瘤の有病率を示した報告はない.
発見された未破裂脳動脈瘤を治療するに当たり,受診者に脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の病態を示す際,くも膜下出血の罹患率,死亡率,致命率は性・年齢によって異なることに留意する必要がある.それらを示す手段としては,剖検などによる脳動脈瘤の有病率8,12,23,31),未破裂脳動脈瘤の破裂の確率32,1,10,11,33),コホート研究などの疫学的研究2,7,9,13,14,27),多施設の共同研究による臨床データが有用である13,16).しかし,結果にばらつきがあること,わが国においては大規模な臨床研究が行われていないこと,コホート研究はイベント発生(脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血の発生)が少ないために,性・年齢による違いを調査したり,他の死因との比較が十分行えないことが欠点であるといえる.それに対して,厚生省(現厚生労働省)が行っている患者調査20)や人口動態統計21)は,全国統計であるためわが国のくも膜下出血の傾向を知るのに有用である.
Screening for unruptured cerebral aneurysms (UCAs) using magnetic resonance imaging (MRI) and angiography (MRA) is prevalent in Japan. To reveal the prevalence of UCAs found during screening, we collected data of the re-sults in 1999, in Tochigi prefecture. In the prefecture, of which the population was about 2 million, 26 institutions had been established in 1999, and 5,222 persons had been screened. These corresponded to 0.26% of all inhabitants of Tochigi prefecture. Of the 26 institutions, 24 cooperated in this study, and data was collected for 4,961 persons.
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