扉
医学教育改革と脳神経外科
福島 武雄
1
1福岡大学医学部脳神経外科
pp.119-120
発行日 2002年2月10日
Published Date 2002/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436902160
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二十一世紀も,はや一年を経過し,新たな脳の世紀としての学問の進歩はめざましいが,近頃物騒なことが多々ある.ちょうど十年前の湾岸戦争はSF小説そのもので,ブラウン管を通してみる光景に,世紀末の様相が感じられ背筋が寒くなったことを思い出す.またしても人類は世界を戦慄させた同時多発テロ事件,炭疽菌による無差別テロ,パレスチナ・イスラエル問題と,貧困,宗教,人種を基礎とした新たな不協和音に直面している.現実ではとても考えられないことを綿密な計画のもとに実行していく人間の恐ろしさを考えるとき,文明の進歩に対する恐怖さえ感じる.これらのことが,ためらいもなく行われる根底には何があるのであろうか.
同じようなことが医学界にも起きるとすれば,果たして飽くなき文明の追求と称する学問の進歩が,個人の,国家の,世界の,人類の幸せにつながるであろうか.
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