第17回医学会総会速報・1 総会から医学の将来を展望する
医学教育改革の声は強いか
中川 米造
1
1阪大・医学概論
pp.645-646
発行日 1967年5月10日
Published Date 1967/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201766
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茅氏の提案
医学教育の問題が医学総会でとりあげられたのは,もう17回をかぞえる総会始まつて以来初めてのことである。開会式にテホレルの酵素研究の過去現在未来についての講演とともに,茅誠司氏の"わが国大学教育に関する私見",の開陳があつたこと,2日目にはバウアーズの"インターンおよび学位問題についての研究"と題する特別講演,そして同日夜には,武見医師会長司会のもとでシンポジウム"医学教育から医療制度へ"の催しがあつた。いずれも,ほぼ満席の聴衆で医学教育に対する関心がかなり高まつてきたことを思わせた。
茅氏の"私見"では,考える習慣をつけさせるために大学の入学試験を大改革し作文一本にしぼること,教養課程を1年や2年にとどめないで,在学中全期にわたり老練な教授による講義を行なうこと,図書館や自修室の整備,マスプロ教育の弊を補うゼミ方式の拡充,研究最優先と教育軽視を改めるため,老年教授には教育に重点をおかせることなどの五つの具体的な提案を含む率直な提案であつた。
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