小さな工夫
T−チューブドレナージを併用した尿管切石術
大場 忍
1
,
東間 紘
2
1西新井病院泌尿器科
2東京女子医科大学腎臓病総合医療センター泌尿器科
pp.544
発行日 1986年7月20日
Published Date 1986/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413204302
- 有料閲覧
- 文献概要
膿腎症を伴つた尿管結石に対し,T−チューブを用いた尿管ドレナージを行い,良好な経過を得られたので報告する。
症例は29歳女性で,5年前に一度左尿管結石で膿腎症に到り,尿管切石術を受けている。発熱,左背部痛出現し,急性腎盂腎炎の診断にて入院。入院時KUBにて,左腎杯の石灰沈着と左骨盤内に8×5mmの結石陰影を認めた。抗生物質の投与にもかかわらず解熱せず,第10病日逆行性腎盂造影を行つたところ,左尿管の結石部位での完全閉塞を認め,腎エコーで著明な水腎症を認めたため,第13病日尿管切石術を行つた。手術時,結石は尿管口より約4cm上方に嵌頓し摘出後多量の膿が排出されたため,切石部位より4cm上方にシリコン製T−チューブ(4号)を留置した。術後3日間T−チューブより膿排出が見られたが,腎盂洗浄で尿清澄となり,以後経過良く,術後12日にT−チューブ造影を行い,狭窄のないことを確かめ,抜去した.膿よりE.coliが検出され,結核菌培養は陰性であつた。術後3カ月を経過し,水腎症は軽快し尿管狭窄もみられていない。
Copyright © 1986, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.