扉
患者にやさしい脳神経外科医
森 惟明
1
1高知医科大学脳神経外科
pp.585-586
発行日 1997年7月10日
Published Date 1997/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901412
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大学時代の級友,京都大学神経内科教授 木村 淳君がCaplan LR:The Effec—tive Clinical Neurologist(Blackwell Scientific Publications,1990)の監訳をし,その邦訳を“患者にやさしい神経科医”として出版しているのが眼に止まり,ふと“患者にやさしい脳神経外科医”とはどのような脳神経外科医であるかを考えさせられた.それからしばらくして,米国でベストセラーとなったGoleman D:Emotional Intelli—gence.Why it can matter more than IQ(Brockman,1995)(土屋京子訳:EQこころの知能指数,講談社)を読んでみて,“患者にやさしい”とはどういうことかが,あぶり出されたように思う.
多くの患者に,“よい医者とは”と質問すると,“患者に親切で,よく勉強する医者だ”という答えが返ってくる.“患者に親切だ”ということは“患者にやさしい”と同義で,“患者の痛みがわかる”共感能力を有するということであろう.このことは,他人の感情を理解し,他人の立場に立ってものを見る態度を有し,他人に対する心遣いができるというEQにほかならない.
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