扉
アジアに目を向けて
神野 哲夫
1
1藤田保健衛生大学脳神経外科
pp.975-976
発行日 1996年11月10日
Published Date 1996/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901294
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脳神経外科領域でも国際学術交流は益々盛んである.しかし日本の脳外科医の目の多くは西欧(アメリカ,ヨーロッパ)に向けられてきたし,現在でもそうであろう.一方,世の中ではアジアとの交流(政治,経済,文化)の発展が唱えられて久しい.勿論,脳外科領域でも決して少くはないであろう.
平成8年度の専門医認定医試験の時,脳外科学会のあり方委員会(拡大)なるものが開催され,私も末席にて諸家の御意見を聞く機会を得た.その時外国人留学生(研修生)の専門医試験受験の事が話題になり,種々検討された.日本語での問題提出は,かれらにとって言語の関門を越えねばならぬし,不利であることは明白である.そのために専門医認定委員会の委員長,副委員長が大変御苦労されて,問題の一部は英文にされている.たとえ一部の英訳でも問題漏れの危険性を完全に予防して行う作業は大変な御苦労であったと察せられる.このような御努力にも関わらず,平成8年度のかれらの成績はあまり振るわなかったようである.また,受験資格の面でも日本人向けの資格と同等にすると,かれら,特にアジアから来ている研修生にはそれをクリアすることはかなり困難であり,また長期滞在は文部省の規定にもそぐわないことが出てくるし,この面でもかれらには不利である.種々検討され,どうやら将来は問題を全文英訳し,受験資格も出来るだけ便宜を図る,しかし試験問題のスタンダードは当然のことながら,日本人受験者と同等にするなどという点で合意されつつあるように拝聴した.
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