連載 感染症フェローのシンガポール見聞録・12
アジアの中の日本
馳 亮太
1
1亀田総合病院感染症科
pp.2043
発行日 2012年12月10日
Published Date 2012/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106585
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Tan Tock Seng病院の関係者がシンガポール国内全体の電子カルテを統一するプロジェクトについて説明してくれた時に,「国全体の電子カルテ統一なんて凄い!」と自分の率直な感想を伝えると,「日本はもっと進んだ国のはずなのにどうしてそんなことで驚くの?」と不思議な顔をされました.他の場面でも同じような反応をされることが何度もあり,どうやら嫌みではなく,彼らの日本に抱いているイメージに由来した正直な反応らしいことに気がつきました.
シンガポールは1942年から第2次世界大戦終戦まで日本の統治下にあり,昭南島と呼ばれていました.遠い昔の歴史くらいにしか思っていませんでしたが,シンガポール人の親友と談笑していた時に,「うちのおじいさんは,戦争中に日本軍につれられていってそのまま帰ってこなかったんだよ」という話を聞いて,はっとさせられたことがあります.街の中心部には,日本占領時期死難人民記念碑という慰霊塔が建てられています.
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