扉
脳神経外科とニューロサイエンスの狭間で
山田 和雄
1
1名古屋市立大学脳神経外科
pp.595-596
発行日 1996年7月10日
Published Date 1996/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436901234
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ニューロサイエンスの時代なのだそうである.米国ではDecade of the brainの宣言以来ニューロサイエンスを志す基礎研究者が爆発的に増加し,米国神経科学会は2万人以上もの参加者がある学会となっている.またニューロサイエンス関係の雑誌はいずれもインパクトファクターが高く,なかでもNeuron(17.3),J Neurosci(8.0),Ann Neurol(7.0),J Cereb Blood Flow Metab(5.2)などが高い数値を維持している.さらにNature(22.3)やScience(21.1)などにも毎号必ず数編のニューロサイエンス関連の論文が掲載される(数値はいずれも1993年版による).
わが国ではここまではいかないものの,若い研究者の間でニューロサイエンスに興味を持つものが増え,代表的な学会である神経科学会,神経化学会ともM.D.,Ph.D.の区別なく活発な討論が行われている.また医学部の学生の中にも将来ニューロサイエンスをやりたいという者が確実に増加している.彼らの話をよく聞くと「せっかく医学部に来たのだから臨床医にはなりたい,しかし臨床医として働く傍,ニューロサイエンス,とくに分子生物学的手法を駆使した研究をやりたい」という学生は確実に増えている.それだけニューロサイエンスが学生を引きつける魅力的な研究分野になっているのであろう.問題はこのような学生の希望に脳神経外科学教室が答えられるかということである.
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