Japanese
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連載 脳循環代謝・6
オートラジオグラフィー法による脳循環代謝研究法
Strategies for Measurement of Cerebral Blood Flow and Metabolism Using Autoradiography
佐古 和廣
1,2
Kazuhiro SAKO
1,2
1旭川医学大学脳神経外科
2名寄市立総合病院脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Asahikawa Medical College
キーワード:
Autoradiography
,
Cerebral blood flow
,
Cerebral metabolism
,
Cerebral ischemia
Keyword:
Autoradiography
,
Cerebral blood flow
,
Cerebral metabolism
,
Cerebral ischemia
pp.484-490
発行日 1993年6月10日
Published Date 1993/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900654
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I.はじめに
オートラジオグラフィーとは放射性同位元素(RI)を含む試料を感光乳膜に密着させ一定期間暴露後に現像し,RIのβ崩壊または電子捕獲によるβ線のエネルギーによって感光した乳剤膜の黒化より試料内のRIの局在を観察する手法である.生体への応用は1946年Be—langer and Leblond3)により紹介されている.1950年代になりKetyら14)のグループによりはじめて定量的オートラジオグラフィーが試みられ,局所脳血流測定方法が報告された.その後各種トレーサーの開発,とりわけSokoloffら30)によるdeoxyglucose(DG)法は脳局所のグルコース代謝の定量的測定を可能とし,脳循環代謝の研究に大きく寄与した.
オートラジオグラフィーはその観察法の違いにより,マクロオートラジオグラフィー,ミクロ(光顕)オートラジオグラフィー,電顕オートラジオグラフィーに分けられる.また乳剤膜のかわりにγ線検出器を用いることによりSingle Photon Emission Computed Tomography (SPECT), Positron Emission Tomography(PET)として生体での観察が可能となり,in vivoオートラジオグラフィーとよばれている.このようにオートラジオグラフィー法は動物実験に限らず臨床においても現在の脳循環代謝研究の最も中心的役割を果たしていることがわかる.本稿では主に定量的マクロオートラジオグラフィーの解説,病的状態に於ける応用をわれわれの仕事を中心に述べる.
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