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最近,我々の大学で自己評価委員会が組織されその一員に加えられた.1980年代半ばの臨教審の答申から大学評価ということが大学改革の問題として登場し,その勧告を受けて生まれた大学審議会が大学に自己点検,自己評価を求めてきた.上記委員会はこれに対応すべく設けられたものである.大学の自治を錦の御旗に,中央からの改革案をやみくもに拒否し続けた昭和40年代の大学紛争世代には,自治権侵害ともとれるこのような中央からの指示になんら異論や反論なく従っていることに隔世の感を覚えた.が,実際には自己評価の内容,実施方法などについては各大学の自主性と創意に委ねられたものであり,中央統制や自治権侵害にはあたらないことがわかった.そして,このような勧告の背景にはわが国の大学が抱える財政,人事,教育などの面での多くの根深い問題のあることを知った.これまでこの方面の知識に乏しく理解も浅かった私であるが,この機会に少しは勉強せねばと思いなしている次第である.
約1年前,平成2年度医学教育者のためのワークショップに参加させてもらった.ここでは様々なことを学んだが,評価についての定義,分類などを復習してみた.評価の方法には大きく分けて二つあり,その一つは,行動の終了時に試験でもってその成果を総括するやり方で総括的評価(summative evaluation)と呼ぶ.もう一つの評価法は,行動の途中でそれが目標に正しく向かっているか否かを判定し,もしはずれていればそのつど形成課程を方向修正していく方式で形成的評価(formative evalua-tion)と呼ぶ.この形成的評価の結果をフィードバックすることによって学習者は学習方法を矯正でき,教師も教授方法を改善し学習指導の指針をより理想に近いものへと高めることができる.面倒なことのように思えるが,大きな過ちを避けることができ,結局は目標に早く到達しやすい.過日,この方法を授業に応用してみた.授業終了時に学生に記名式アンケート用紙を配りその授業についての感想を書かせた.黒板の字が光って見えにくい,早口でわかりにくい,講義内容のどの部分が理解しにくかった,などの指摘があり,以後の授業の参考にすることができた.そのほかアンケートには,今年入局の教室員が自発的にやってくれていた黒板消しに対し,封建的だとの非難めいた言葉があり,現代学生気質の一端を実感でき,また反論の場も得ることができた.
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