扉
元旦雑感
田中 隆一
1
1新潟大学脳神経外科
pp.399-400
発行日 1991年5月10日
Published Date 1991/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900251
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元旦の朝は日直の看護婦と二人で病棟を回ることにしている.外泊さえもままならず,病院で正月を迎えなければならない患者さんとそのご家族には,誠にお気の毒と申し上げるほかはない.われわれの病院の場合は,そのような患者さんの殆どが悪性脳腫瘍の進行期にある人達であり,われわれの無力さをあらためて痛感させられる.そんな中で,笑顔でわれわれの挨拶に答えてくれるのは,年の瀬のあわただしい中で手術を受けた患者さんであり,病室を回っていてほっとする瞬間である.
病棟での挨拶が終ると,新潟で正月を過ごしている教室員が医局に集まって,恒例の新年会が始まる.これは古くから続いている教室の年中行事である.かつては和服姿の男性や,華やかな振袖で着飾った女性の姿もみられ,女性群が腕によりをかけたおせち料理が並んだこともあったが,最近は故郷で正月を過ごす人が多くなったこともあって,参加者が少なくなり,新年会も質素になってきた.それでも,用意された升酒で乾杯し,新年の挨拶を交わしていると,気分があらたまる.
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