報告記
神経腫瘍学の進歩に関する国際シンポジウム
生塩 之敬
1
1熊本大学脳神経外科
pp.196-197
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436900222
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地中海の“紺碧の海岸”に沿い,ニース,モンテカルロと並んで世界的な観光地として有名……と言うより,わが国ではその名を冠した音楽祭で名前の知られているサンレモで,“神経腫瘍学の進歩に関する国際シンポジウム・1990”と銘打った国際会議が行われた.会期は避暑地としての賑わいの余韻がわずかに感じられる9月の終わり,26日から29日までの4日間で,レストラン,宝石店,靴屋,ブチックなどが並んだ美しい街角の,一見映画館の門構えの建物で行われた.門構えに似合わずA会場は豪華な劇場であり,地下のB会場は実際には映画館のようで,会の終わる夕方には映画のお客が集まって来た.
この度の国際会議は,ヨーロッパに於ける神経腫瘍学のリーダーの一人であるイタリア・Pavia大学のPaoletti教授の呼掛けにより,米国・NIHのWalker教授および東大の高倉教授をco-chairmenとして開催されたものである.テーマは幅広く,グリオーマ,転移性脳腫瘍,胚細胞腫,髄膜腫,神経鞘腫,頭蓋咽頭腫など主要な腫瘍がすべて取り上げられ,これらの生物学,診断と治療,新しい治療法の開発,さらには,小児神経腫瘍学までの多岐に渡った.そこで,世界の各地,およそ30カ国から500名のneuro-oncologistが参加し,300余りの研究報告がなされるという,従来の脳腫瘍の会と比較してかなり大きな会議になった.わが国からは脳神経外科医を中心に,およそ100名が参加し,50題の発表がなされた.
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