Japanese
English
総説
頚椎人工椎間板治療—歴史と展望
Cervical Total Disc Replacement:History and Future Perspectives
高安 正和
1
Masakazu TAKAYASU
1
1稲沢市民病院脳神経外科・脊髄末梢神経センター
1Department of Neurosurgery, Spine and Peripheral Nerve Center, Inazawa Municipal Hospital
キーワード:
artificial disc
,
cervical spine
,
anterior cervical decompression and fusion
,
adjacent segment disease
,
history
Keyword:
artificial disc
,
cervical spine
,
anterior cervical decompression and fusion
,
adjacent segment disease
,
history
pp.579-586
発行日 2020年7月10日
Published Date 2020/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204235
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Ⅰ.はじめに
頚椎人工椎間板の最大の利点は,頚椎前方アプローチの利点を維持しつつ,椎間可動性を温存することにより隣接椎間の負担を軽減し,将来発生し得る隣接椎間障害を減少させることにある(Fig.1).本邦においても,頚椎人工椎間板置換術が2017年12月より医療保険の認可を受け,限定されたプロクター施設において臨床使用が可能となった.この際の市販後調査の結果を踏まえて,現在,要件を満たした脊椎脊髄外科医による一般施設における施行も可能となりつつある.これは,欧州での認可から約20年,米国からも約10年遅れとなる.このように本邦では,人工椎間板の導入が諸外国から大きく遅れることとなったため,逆に,その間に明らかとなったいくつかの問題点も知識として共有することができる.
一方で,今まで諸外国では数多くの臨床研究が行われ,その有用性が示されてきたが,メーカーが主導する研究が多いことが問題視されている.また,これらの過去の報告では,詳細な画像の長期評価が十分とは言えない.後発である本邦においては,学会主導で厳密な術後調査を行うことにより,頚椎人工椎間板に関する有益な情報を世界に発信することがわれわれの責務と考える.筆者自身は,2015年より本邦への頚椎人工椎間板の導入に関与しており,この誌面において,その歴史と展望について述べる機会をいただいた.
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