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臨床室
頚椎椎間関節嚢腫の1例
-――整形外科医がまれな頚椎腫瘍性疾患で手術を受けた経験
Cervical juxta-facet cyst:report of a case from an orthopedic doctor
桂川 陽三
1
Y. Katsuragawa
1
1国立国際医療研究センター病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., National Center for Global Health and Medicine, Tokyo
キーワード:
cervical spine
,
juxta-facet cyst
,
synovial cyst
Keyword:
cervical spine
,
juxta-facet cyst
,
synovial cyst
pp.120-124
発行日 2021年2月1日
Published Date 2021/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei72_120
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近年,臨床成績の評価法として患者立脚型評価(patient reported outcome measures:PROMs)が注目されるようになり,主観的な尺度である患者満足度がますます重要視されている.患者満足度を向上させるためには,患者の立場に立つことが大切であるが,実際にはなかなかむずかしい.本稿では,筆者自身が比較的まれな頚椎腫瘍性疾患に罹患し,さまざまな検査,保存的治療の後,最終的に手術を受けて,整形外科医でありながら同時に患者になるという貴重な経験をしたので報告する.
脊椎の椎間関節の変性に由来して脊柱管内に発生した滑膜嚢腫(synovial cyst)を椎間関節嚢腫といい,ganglion cyst,juxta-facet cyst,facet cystなどと呼ばれることもある1).大部分は腰椎に生じ,また無症状であることが多いが,頚椎に生じると脊柱管を占拠し,神経根症や脊髄症を生じることがある2).頚椎に発生した椎間関節嚢腫では,原因となる椎間関節はC1/C2かC7/T1のいずれかであることが多く,C1/C2では関節の可動性が大きいこと,C7/T1では頚椎と胸椎の間で大きなストレスを受けやすいことが要因と考えられている3).保存的治療で嚢腫が消失したという報告もあるが,症状を呈する場合は最終的にほとんど手術的治療にいたると報告されている4).
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