扉
「最近の医療事故報道に思う」—その後
本郷 一博
1
1伊那中央病院
pp.1127-1128
発行日 2019年11月10日
Published Date 2019/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204089
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本誌「扉」に拙文を載せていただくのは2回目,誠に光栄である.初回は15年前に「最近の医療事故報道に思う」1)と題して寄稿した.信州大学の教授職に就いた翌年のこと.15年余りの教授職を全うして本年3月に定年退職し,現在,長野県伊那市にある自治体病院(394床)に院長として勤めている.
この10数年,医療界の状況は大きく変化した.大学の一教室を主宰する立場では,研究や診療はもちろんであるが,次の世代に続く人材の発掘と育成は極めて重要なことである.ところが教授に就任した直後,研修医が入らない状況が生じた.新医師臨床研修制度が2004年に始まったことにより,開始直後の2年間を含め,3年間入局者ゼロであった.当初から,連携施設を維持するための研修医の確保には苦労した.いくつかの連携施設では,常勤医師を削減せざるを得なかった.就任当初に「センター化構想」を提案し,「集約化」による脳神経外科医療・医師の質の維持,脳神経外科医の疲弊防止,業務の効率化を考えたが,集約化により吸収される側の立場もあり,「総論賛成」「各論反対」で実現できず,定員削減あるいはいわゆる「引き上げ」で対応してきたのが現状である.
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