扉
術中モニタリングの一考察
佐々木 達也
1
1東北医科薬科大学医学部脳神経外科学
pp.925-926
発行日 2019年9月10日
Published Date 2019/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204050
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脳神経外科手術に術中モニタリングが用いられるようになって久しい.これまでの努力が患者に還元され,手術成績を向上させていることを信じたい.先日,レビューの依頼があり,2018年にpublishされた英語論文を80編くらいチェックする機会があった.時間のかかる作業ではあったが,読んでみるといろいろと思うことも多かった.そこであらためて,脳神経外科手術における術中モニタリングの現状について考えてみることとした.
現在の術中モニタリングは多様性に富み,脳神経外科ばかりではなく,整形外科における脊髄・脊椎手術時のモニタリング,大血管手術時のモニタリング,さらには麻酔科など,多くの診療科にまたがっている.今後は,耳鼻咽喉科,眼科,形成外科などでも術中モニタリングが導入され,発展していくと感じている.脳神経外科のモニタリングに限ってみても,世界中の多くの国で施行され論文が発表されている.その中で最も論文が多いのが日本である.米国では脳神経外科医がモニタリングすることはなく,脳神経内科医が担当したり,モニタリング専門の業者が施行したりしている.本邦では脳神経外科医主導でモニタリングがなされており,実際には臨床検査技師や臨床工学技士が担当することが多く,このような体制が論文の量産につながっていると思われる.韓国や中国でもモニタリングが施行され,北米,ヨーロッパ,中近東からの報告も多く,全世界に拡大していくことは間違いないことと思われる.
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