書評
—近藤 克則:著—研究の育て方—ゴールとプロセスの「見える化」
和座 雅浩
1
1各務原リハビリテーション病院
pp.732
発行日 2019年7月10日
Published Date 2019/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436204016
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●これから臨床研究を志す若手研究者・臨床家のThe指南書
本書はまず「研究とは何か?」の概説から始まる.研究とは,何らかの新規性があり,今まで知られていなかったことを明らかにすること,新たな因果関係や分類を見出したり,当然と思われていた常識を覆したりすることとされている.研究を志す者は,研究と勉強の違いをよく理解しておかないと研究現場で仕事を続けることは到底困難との忠告とも言えるが,研究を続けることのやりがいと社会的価値とともに,それをなし得るための厳しさも伝えたいという,後進に対する思いやりとエールだと感じた.また,研究という言葉はとても曖昧に利用されており,医療機関においても混乱の原因ともなっているが,研究の分類とともに,この書籍によりよく理解することができた.
各章に掲載されているチェックリスト一覧は,研究の立案から遂行,データ収集から解析,そして論文化に至るまでの重要事項が,各ステップにくまなくリストアップされている.それぞれの段階で,特に初心者が陥りやすい事項も網羅されており,ここまで詳細に実践的な内容が教示されている指南書を拝読できたのは初めてで,20年にわたり60人余りもの大学院生を指導されてきた豊富な教育経験に基づいた,その教える手法に感服した.私自身,今後新たな研究を立ち上げるときは,本書の手順を踏みながら進めていきたいと思う.
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