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編集後記
宮本 享
pp.620
発行日 2016年7月10日
Published Date 2016/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436203344
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本号も力のこもった多くの原稿をいただいた.谷諭先生のスポーツ関連脳損傷に関する総説は,最近の話題が箇条書きのように非常に読みやすい文体で書かれており,各章の要旨がone phraseでまとめられている.読者にとって非常に有益な総説であり,ぜひご一読いただきたい.この総説に続いて小山論文「スノーボードによる急性硬膜下血腫」が掲載されており,ちょうどよいタイミングでの掲載となった.その他,エンボスフィア®を用いた腫瘍塞栓術に関する下田論文(研究)をはじめ,テクニカルノート,症例報告においては血管内治療や脳血管障害に関する論文が多く掲載されている.本邦の脳卒中医療は脳神経外科医によるcontributionが大きく,脳神経外科手術で最も比率が高いのは脳血管障害であるため,脳血管障害に関する症例報告が多いのも当然であろうと思われる.
症例報告は貴重な症例の経験を読者と共有するという意義のほかに,ビギナー筆者にとって論文投稿の登竜門としての意味合いがある.現在の日本脳神経外科学会専門医認定制度では,peer reviewのある医学誌への筆頭著者としての論文掲載が受験資格となっている.学会機関誌のNeurologia medico-chirurgicaが英文であることを考えると,和文である本誌は若手脳神経外科医が専門医を目指すうえでも,症例報告を投稿する際の第一候補になり得ると思われるので,本誌にはその面においても発展を期待したい.
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