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I.はじめに
脳虚血に対する脳機能の回復は脳虚血の程度とその持続時間により決定される.すなわち脳波あるいは誘発電位などの脳機能はこれらの完全消失に到らない軽度ないし中等度の虚血においてはかなり長時間の虚血に対して回復しうる.これに対しこれの反応が全く消失するような強い虚血においては回復可能な虚血時間は極端に短くなる.そしてこのような虚血においては機能の回復は虚血の持続時間と非常に良く相関すると言ってよい.これまでわれわれは猫を用いた全脳虚血モデルにおいて,脳皮質の機能は脳皮質の直接刺激による反応が全く消失するような強い虚血において5分以内の再開通では全例で,15分後では約半数でほぼ完全な回復が期待できる一方,30分以後の再開通では完全な回復が期待できないことを報告してきた12,13).
このような脳虚血からの脳機能の回復に関する報告は散見されるが,多くの場合回復・非回復の判断は虚血再開通後6ないし8時間の短時間で行われているように思われる1,4-6,9).しかしながら,われわれのこれまでの検討の中で虚血後再開通により回復の見られていた脳皮質機能が数時間後より悪化する現象を観察し13),このような短時間での回復の判断が必ずしも正確でないことが示唆される.
Delayed neuronal deterioration of recovered neuronal function from cerebral ischemia was investigated in ex-periments using 25 cats. The neuronal function was ev-aluated by direct cortical response (DCR) and EEG. To induce cerebral ischemia clamps were applied to both the innominate and left subclavian arteries and were re-moved 15 minutes after complete loss of DCR. Follow-ing recovery of circulation, DCR and EEG were studied for at least 48 hours, along with the changes of cerebral blood flow (CBF) and intracranial pressure (ICP).
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