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I.緒言
特発脳脳内血腫は臨床的に,出血傾向や高血圧の既往ならびに外傷,腫瘍,脳動脈瘤,脳動静脈奇形など明らかな原因を認めない脳内血腫をさすが,従来原因不明と考えられていたもののなかに脳血管写上あるいは病理組織学的に小さな血管腫様奇形つまりsmall angiomatous malformation (以下SAMと略す)からの出血を証明する例が注日されており,SAMを含めた原因不明の脳内血腫を特発性脳内血腫として定義している.しかし,現在までの報告例のなかには,その定義内容・呼称が多少異なり,若干の混乱を招いていることも事実である.
われわれは過去7年間に当教室で経験した手術症例のうち,高血圧(収縮期血圧160mmHg以上および拡張期血圧95mmHg以上を高血圧として扱った)の既往なども含め,出血の誘因,原因につき充分な検索を行い,原因不明であった脳内血腫例を集計したところ計17例であった.そのうち手術時および組織学的に3例のSAMを証明したので,今回これらの臨床像を中心に検討し,若干の文献的考察を加え報告する.なお,われわれはSAMを脳動静脈奇形(AVM)と区別する意味で,脳血管写所見を特に重視し,明らかな導入動脈nidus,導出血管を備えていないものを本検討の対象とし,その鑑別点とした.
Spontaneous intracerebral hematoma is a rather rare clinical entity which is not clue to cerebral aneurysms, arterio-venous malformations, blood dyscrasias, trauma or hypertension.
But at present the term of this clinical entity is regarded as vague expresions and definitions.
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