Japanese
English
総説
脊髄疾患における誘発電位
Evoked Potentials in Spinal Cord Diseases
柴崎 浩
1
Hiroshi SHIBASAKI
1
1九州大学脳研神経内科
1Department of Neurology, Neurological Institute, Faculty of Medicine, Kyushu University
キーワード:
Short latency somatosensory evoked potentials(SEP)
,
Spinal cord diseases
,
Far field potential
,
Spinal SEP
,
Evoked electrospinogram
Keyword:
Short latency somatosensory evoked potentials(SEP)
,
Spinal cord diseases
,
Far field potential
,
Spinal SEP
,
Evoked electrospinogram
pp.1109-1122
発行日 1981年9月10日
Published Date 1981/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436201393
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.沿革と緒論
脊髄の感覚機能を電気生理学的に検索し,それを臨床的に応用する方法は,従来は中心後回に相当する頭皮上に電極をおいて皮質体性感覚誘発電位(cortical somatosensory evoked potential,cortical SEP,本稿では皮質SEPと呼ぶ)を記録し,それから脊髄の状態を推測するものであった.そのような時にJewettら33,34)(1970)は,ヒトの耳にclick刺激を与え,頭皮上脳波を1,000回以上加算平均すると,刺激の10msec以内に7成分が記録され,それが聴神経や脳幹などの深部構造で生じた電位が容積伝導(volume conduction)の結果頭皮上に広く分布したもの(far field potential)であることを証明した.これがきっかけとなって,Cracco6)(1972)はヒトの正中神経を手根部で電気刺激した時に,約15msecの潜時で頭皮上から記録される陽性波が深部起源であり,同じく容積伝導の結果,頭皮上に広く分布したもので,あると唱えた.のちにCraccoら9)は潜時がそれぞれ10,12,15-16msecの3つの陽性頂点を頭皮上に認め,鎖骨上窩Erb点や頸椎棘突起上に表面電極をおいて記録した誘発電位と比較することによって,その3つの陽性頂点がそれぞれ末梢神経,脳幹,視床で発生した誘発電位であつて,頭皮上からfar field SEPとして記録されたものであると発表した.
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.