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Ⅰ.はじめに
脳卒中はわれわれ人類にとっての三大死因の一つであり,そのうち脳梗塞の占める割合は50%を越えている.さて脳梗塞において,progressive strokeやcompleted strokeの形をとった場合では,thromboendarterectomyあるいはembolectomyは,その急性期では常識に反して臨床症状を悪化させるだけでなく,死を招来することもあり,急性期でのそれらの外科的処置は,もはや断念すべきであるとするのが多数の意見である.しかしわれわれ脳神経外科医は急性期においても血行を再開させ,脱落の運命にある神経細胞の救出を計る手段を考えなければならない3).しかし,梗塞巣の時間的諸変化や急性期血行再開により惹起される脳の病態生理1,2)はいまだ不明の点が多く,したがってその対策も立てられないというのが現状である.それらの解明には,まず脳血上流遮断によって,一定の程度,大きさの梗塞が,しかも一定部位に高頻度に発生し,それが血流遮断時間の調節によって,その程度を自由に調節ができ,欲をいえば慢性実験にも使える動物モデルの作製が必要である.
先にわれわれは,イヌの脳底部各血管のそれぞれの組み合わせの遮断によって,上記諸条件にほぼ合致すると思われる各種のモデル犬を作製して既に発表してきたが6),その中でも遮断された脳底部血管の解除後,急速に脳腫脹が発生してくるモデル犬についても報告した7).
Using our previously published "incomplete cerebral hemispheric infarction model in dogs" (produced by simultaneous, ipsilateral occlusion of the anterior cerebral artery at the branching of the ethmoidal artery from its portion, the A2 portion, the internal carotid artery, the posterior communicating artery, the posterior cerebral artery and the anterior cerebellar artery), 2-, 4-, and 6-hour occlusion of blood flow were undertaken. Observations were then made on the degree of suppression of brain swelling following recirculation due to administration of various mannitol and glycerol solutions.
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