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Ⅰ.はじめに
破裂脳動脈瘤における再出血予防のための適切な抗線溶療法のためには,破裂急性期における線溶動態の変動および抗線溶剤による線溶抑制効果を的確に把握することが必要であるが,われわれは血中Sk-euglobulin溶解時間,FDP等を測定することにより,抗線溶剤(t-AMCHA)の過不足ないし投与量を決定することが出来ることをすでに発表した1,2),また,これらのmonitoringにより早期手術の対象とならない症例の再破裂防止をある程度確実にしかも科学的根拠をもって行なうことが出来,全体として再出血率2.8%という良好な成績を得ている.
一方,再出血と並んで破裂脳動脈瘤管理上のもう1つの重要な課題である脳血管攣縮は続発する脳虚血性合併症のため,その死亡率が30%にもおよぶという事実3,4)を見ても,その病態の解明と治療法の開発こそが,脳動脈瘤の治療成績を飛躍的に向上せしめる鍵といえる.この目的に沿って,すでにわれわれは脳血管攣縮緩解物質"haptoglobin"を臨床的に使用しているが,本報告では凝固線溶因子の1つである血中fibrinogen(Fbg)が脳虚血性合併症にいかなる影響をおよぼしているかを知るためにくも膜下出血(SAH)後急性期におけるFbgの変動を臨床症状,脳血管攣縮との関連において観察し,さらにはFbgの増減と血液粘度および他の凝固因子との相関,あるいは予後との関連性などについて,論じてみたい.
Repeated fibrinogen determination were made in 24 patients suffering from subarachnoid hemorrhage (SAH), in order to know the influence of blood content of fibrinogen upon the ischemic complications following vasospasm. In 11 cases (group Ⅱ) among those 24 patients admitted within two weeks after the last SAH due to ruptured intracranial aneruysm, a rise in fibrinogen over 600mg/dl occurred, while in remaining 12 cases (group Ⅰ) the levels of fibrinogen were kept below 600mg/dl during the acute stage.
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