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Ⅰ.はじめに
従来より脳は低酸素状態および虚血に対して非常に抵抗性の低い器管といわれており,Weinbergerら26),Kabatら13)は十分な機能の回復しうる脳虚血の時間は3-4分であると報告している.しかしながら最近Hossmannら9,10)が実験的脳虚血において1時間にわたる長時間の虚血後にも良好な電気生理学的および生化学的回復を認めて以来,脳の虚血に対する抵抗性について再検討がなされつつある.実験的にはすでに多くの脳虚血モデルが報告され.生化学的,生理学的,病理学的知見が集積されつつあるが機能的回復の機構や限界についてはいまだ明らかにされてはいない.
筆者らは従来報告されているモデルの内,手術が簡単で,小動物にも用いうるモデルとしてcompression ischemiaを白鼠に行い,生理学的,生化学的および局所脳循環の観点から検討を加えた.筆者らはこの一連の実験において他のモデルの場合と同様に全身的な条件が脳虚血後の機能回復に重大な影響をおよぼすことを見出した.筆者らの採用した実験モデルにおいては人工脳脊髄液を大量に大槽内に注入するため著明なoverhydrationをきたし,それと頭蓋内圧亢進開始期のvasopressor responseとが相まって重篤な呼吸循環系の障害をきたし,致死的な経過をとる場合があるので,筆者らは高張液による腹膜灌流法を用いてこのモデルの欠点を改善した.
Global complete compression cerebral ischemia with good functional recovery was clone in rat. This method was chosen because of simplicity of the technique and completeness of the ischemia. This method, however, had some disadvantages such as overhydration clue to infusion of large volume of artificial CSF into the cisterna magna to maintain high intracranial pressure and tremendous vasopressor response at the beginning of the ischemia. These disadvantages have been improved by the technique of peritoneal dialysis.
Forty rats were used for the investigation.
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