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Ⅰ.緒言
脳動脈壁の神経線維については,形態学的に鍍銀染色法,組織化学的螢光法などによって豊富な神経線維の分布が確認され,今日では電子顕微鏡の導入によりその終末構造まで詳細に検討されている.そして,生理学的研究では脳血管における神経線維の役割の重要性を強調する報告も多く,Folkow12)は神経終末からの一定のノルアドレナリン(NA)の放出が脳血管のtonicityを維持しているであろうと述べ,その他,脳循環の自己調節作用に対する神経機構の存在の報告23)や,実験的に視床下部後部の破壊が脳血管ーヌスを変化させたという報告14)は注目に値する.
そしてそれら脳動脈壁に分布する神経線維について,Peerlessら29)はくも膜下出血などによリアドレナリン性神経線維の螢光が消失したと報告し,金谷ら19)は,脳内の病変により脳動脈壁の神経線維が形態的に変化をきたしていた事実を観察している.そこで著者は,脳内の種々病態における脳血管神経線維を組織化学的および電顕的に検索することは,脳血管神経支配ならびに脳循環における神経性因子の意義についての理解を更に深めるものと考え,前述の報告などよりまず視床下部と脳血管神経支配との関連に注目し,実験的にイヌの視床下部を破壊し,脳主幹動脈の動脈壁を組織化学および電顕的に検索を進め興味ある知見を得たので考察を加える.
Histochemical and electronmicroscopic studies were made in an attempt to clarify the correlation between innervation of the cerebral arteries and hypothalamic function.
Destruction of the posterior hypothalamus was made by electrocoagulation through the trans-palatal approach in eighteen adult dogs. The dogs were sacrificed 1 day, 2 days, and 7 days after the operation, and the middle cerebral arteries were histochemically and electronmicroscopically examined.
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