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Ⅰ.序言
水頭症を放置すると死に到らない限りやがて髄液産生と吸収のバランスがとれて,一見水頭症が停止したごとき状態となることは良く知られている12,21,22,25,38).また水頭症に短絡管手術を行い,一定期間を経過すれば水頭症は治癒して短絡管を必要としなくなる例もあるといわれる15,16,38).更に水頭症に対する治療法の1つとして短絡管手術を行わず積極的に"代償性"水頭症状態を作り出そうとする考えもある6,7).この問題は水頭症の長期予後のみならず,治療の方法および適応の問題でもあり,ゆるがせにはできない.この問題は"代償性"または"停止性"水頭症として論じられているが"代償性"または"停止性"水頭症状態に到ったとする判定基準は各人谷様であり,その討論も混乱をきわめているのが現状である38).
我々が当論文でいわゆる"代償性"水頭症として呈示した例は,①頭蓋内圧亢進症候なく髄液圧も正常である.②神経学的所見の悪化を認めない.③頭囲拡大は停止しているかまたは拡大率が正常以下で正常頭囲曲線に近づきつつあるもの,との非常に広い定義に基づいていることを最初に明らかにしておく.
Out of 60 consective cases with hydrocephalus of pediatric age group, 8 cases were found to be so-called "compensated" hydrocephalus and their clinical features were reported.
"Compensation" of hydrocephalus in our cases was probably induced by increased ventricular absorption of cerebrospinal fluid since moderate to severe ventricular dilatation was present in all cases. Such "compensation" of hydrocephalus is apparently made at the expense of normal development of the brain function.
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