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Ⅰ.はじめに
Crabtree3)やScanlan25)が1964年にすでに『内耳道内に限局する腫瘍の早期発見は最早学問的重要性を有するのみではない』と述べているとおり,術中術後のmorbidityおよびmortalityの低下,顔面神経機能さらには聴神経機能の維持などの観点より,聴神経鞘腫の早期発見は,日常診療上常にこころがけねばならないことである.同腫瘍のX線学的早期診断には油性造影剤による脳槽撮影の寄与するところが大である.しかし,油性造影剤による障害は無視されるべきものではない.また血管撮影読影能の向上や,断層撮影を併用した緻密な気脳撮影手技の進歩により,小脳橋角に発育した腫瘍の診断には,これらの検査で充分目的の果たせる場合が多い.しかしながら,内耳道内に限局した腫瘍に関しては油性造影剤に頼らなければならないのが現状である15).著者は現在,聴神経鞘腫の疑われる患者に対する脳槽撮影は血管撮影および気脳撮影によっても否定できない症例にのみ用い,内耳道のみを造影する目的で,少量の造影剤を用いて行っている.
手術または経過により,非腫瘍性と考えられた33名41例の内耳道造影像より,内耳道内腫瘍の早期発見の基となる内耳道の正常像およびX線解剖について検討した.
Meatograms obtained in 33 patients (41 examinations) in whom cerebello-pontine angle tumor was excluded clinically and operatively, were studied.
Meatographies were performed with a small quantity of contrast medium, and restricted to the visualization of the structures in the auditory canal.
Tomographies of antero-posterior view were utilized in all the cases. Normal tomomeatograms were classified into 4 types.
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