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I.緒言
現在脳腫瘍の診断に用いられている各種補助診断法は,この数年間に著しく発達した神経放射線学を筆頭として,きわめて精度の高いものとなり,一方では脳神経外科医の臨床経験の蓄積も相まって日常の診療で診断に困ることはまずないといってよい.しかしこれらの各種診断法は脳腫瘍のmassとしての性質や循環動態の変化および脳機能障害に基づくものが大部分であり,存在する腫瘍の増殖状態を反映するものではない.その意味で脳腫瘍患者の体液より脳腫瘍の増殖状態に関連する物質の測定が可能であるならば,他の診断法と組合せてその消長をみることは非常に有用なことであろう.
最近細胞増殖との関係が注目されてきているspermidineやspermineなどのPolyamineは,methionineやornithineを前駆物質として細胞内で生合成され,その生理的意義は主として核酸や蛋白合成に促進的に作用し細胞増殖を活発化するといわれている15).Polyamineは生体内に広くかつ比較的多量に存在するアミンであるが,鶏胚1,8,10)や再生肝4,9,10,11)などの細胞増殖が活発な組織ほどその含有量が高く,hepatomaやsarcomaなどの悪性腫瘍組織中でもpolyamine生合成に関与する酵素活性は著しく上昇していることが知られている10).
Examination of blood polyamines in 38 patients with brain tumor and 17 normal volunteers was carried out by columnar chromatography-cellulose acetate membrane electrophoresis.
The upper limits of the normal values; M.+2S.D. of the blood plyamine concentrations in 17 normal volunteers, were less than 2.1 mg/ml for spermidine, less than 1.6 mg/ml for spermine, and less than 3.3 mg/ml for spermidine plus spermine.
The values of blood polyamines in 21 cases with glioma were significantly higher than those in normal subjects (p<0.01).
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