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Ⅰ.はじめに
種々の疾患の髄液中の異型細胞については,古くから記載がある.髄液のルーチン検査でたまたま異型細胞が見つかることがあるが,もともと髄液中には細胞数が少なく,また髄液量も少量しか得られないことが多い為,集細胞法,染色法に関して種々の工夫がなされてきた.その主なるものは,遠沈法,濾過法であるが,従来行なわれてきた方法は,いずれも通常の細胞診であり,細胞の異型性の判定にはかなりの熟練を要する.
一方,永井ら8,10,14)は,脳腫瘍の症例において,millipore filterで細胞集積を行なったのち,組織培養の技術を応用して,集めた細胞を培養し,特色ある細胞形態,発育patternから脳腫瘍細胞を同定するという独創的な方法を老案し優れた結果を得ている.我々もこれに習って行なってみたが,millipore filter並びに器具の滅菌,またその後の操作等,臨床医が日常検査室レベルでルーチン検査として行なうにはなお煩雑な点があるため簡易法を考案して行なってみたところ,予期していた以上に好成績を得ることができたので,その方法,結果を紹介し,若干の症例及び問題点を示してみたい.
In order to alleviate the technical difficulties involved in the identification of tumor cells in the cerebrospinal fluid, the authors have developed a simple method using cell-culture technique. A mixture of about 3 ml of CSF with equivalent amount of culture medium was incubated at 37℃ stationarily in two Leighton-tubes containing a cover slip. Culture medium, HAM-F12 (Nissan Ltd.) supplemented with 20% fetal calf serum, was used. CSF-specimen was divided and cultured for different length of time for the following reasons.
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