Japanese
English
手術手技
脳動静脈奇形の手術
Surgical Treatment of the Intracranial Arteriovenous Malformation
松角 康彦
1
,
丸林 徹
1
Yasuhiko MATSUKADO
1
,
Toru MARUBAYASHI
1
1熊本大学脳神経外科
1Department of Neurosurgery, Kumamoto University Medical School
キーワード:
Operative technique
,
Total excision
,
Palliative measures
,
Historical review
Keyword:
Operative technique
,
Total excision
,
Palliative measures
,
Historical review
pp.115-123
発行日 1976年2月10日
Published Date 1976/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200406
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.緒言
脳動静脈奇形の外科的療法を現在のように積極的な摘出手術として完成させるまでには,およそ半世紀に近い努力が払われたといえる.その点では脳動脈瘤の外科治療と軌を一にするところがあるが,現今,脳動脈瘤の手術がclippingを主とする術式に,ほぼ公式化されたのと比較すると,脳動静脈奇形の手術療法には,いまだ多くの未解決の問題があり,手術適応の決定にも相一致せざる立場がある.もちろん手術手技の向上には,近代麻酔学の発展や,神経放射線学における診断技術の進歩,また特に手術用顕微鏡の導入など,脳動脈瘤と等しく恩恵を蒙るものであるが,脳動静脈奇形の手術は,それ以前に問題の動静脈奇形が技術的に摘出可能であっても,摘出することが,是か非かを決定する必要がある.手術々者の技術的水準は措くとしても,当面する脳動静脈奇形の存在が,いか程患者の神経学的異常所見と関連があり,また同時に周辺脳組織の正常機能の維持に無関係でないかを判定するのは,容易なことではない.
最近ようやく積極的全摘出の症例が増加し,優位半球の運動領に存在するような動静脈奇形の摘出症例の報告すらみられるようになった背景には次第に全摘出手術が必ずしも周辺脳組織の循環阻害を招くものではなく,また脳動静脈奇形に包含された.脳組織はしばしば機能的に無意味の組織であることが多いと判明したからにほかならない.
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.