Japanese
English
総説
脳膿瘍
Abscess of the Brain
喜多村 孝一
1
,
加川 瑞夫
1
Koichi KITAMURA
1
,
Mizuo KAGAWA
1
1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Tokyo Women's Medical College
キーワード:
Abscess
,
brain
,
Pathogenesis
,
Diagnostic methods
,
Therapy
Keyword:
Abscess
,
brain
,
Pathogenesis
,
Diagnostic methods
,
Therapy
pp.355-364
発行日 1974年5月10日
Published Date 1974/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1436200186
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Ⅰ.緒言
脳膿瘍の治療の歴史を概観すると,大きくpreantibiotic eraとpost antibiotic eraの時期に分けることが出来よう.確かに抗生物質の登場の時期を画して,脳膿瘍の病態,治療成績等に著しい変換をみたことは疑いのない事実である.
1893年,Macewen15)が脳膿瘍の手術に成功し,脳膿瘍が手術的に根治し得ることがわかり,以後,この領域での頭蓋内手術操作に小心であった先達に多大の光明を投じたのである.さらにその後,抗生物質という強力な武器が現われ,その支援の下に頭蓋内感染症,特に脳膿瘍に対し種々の外科治療が試みられてきたのである.これら外科治療と抗生物質による治療によって脳膿瘍は前時代的な疾患であるとして片付けられ,一時期脳神経外科医の関心の外におかれたように思われる.しかしながら近年再び発生頻度が増加し,しかも治療成績は必ずしも良好ではなく,脳神経外科領域の諸疾患のなかでも手術成績,死亡率とも最も不良なものの1つである.
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