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I.緒言
臨床的観察から,担癌体に癌組織に対する防禦機構の存在することを示す間接的証拠がまとめられている5).しかし,自然治癒や寛解をみる症例は稀有であるし,BCGなどを用いた免疫機構増強の試みも期待通りの治療効果を挙げていない.原発性免疫不全のある例に悪性腫瘍合併率の高いことや,医原性免疫不全状態,たとえば腎移植後免疫抑制剤投与中の患者では14)同年齢層のものに比して高い発癌率を見ることが知られている.これらのことから,発癌の原因,あるいは結果としての担癌体の免疫反応力低下が推定されている.
担癌体をこの方面から検索した報告は多い.体液性免疫を調べ,進行癌では抗体産生が障害されているという報告もあるが,末期癌といえども抗体価は正常者と大差ないというのが大方の一致した見方である4).細胞性免疫については,動物実験で移植皮膚片定着期間の延長4),癌進行度とリンパ球幼若化率の逆相関15)などの報告がみられ,細胞性免疫の低下が指摘されている.ヒト癌患者でも移植皮膚片定着期間の延長やツ反陰性率の増大4),DNCB試験と予後の関係10),リンパ球幼若化現象低下などの報告があり,少なくとも癌の進行した症例では細胞性免疫の低下をみることが指摘されている.
Observation has been made of lymphocytic response to phytohemagglutinin (PHA) in 25 patients with brain tumor and 17 control subjects. The patients, consisted of 14 gliomas (glioblastoma multiforme 2, anaplastic glioma 2, astrocytoma 1, oligodendroglioma 1, ependymoma 1, medulloblastoma 2, pinealoma 4, and thalamus tumor not verified histologically 1), 2 neurinomas, 4 pituitary adeno-mas, 1 meningioma, 2 congenital tumors and 2 metastatic tumors.
Lymphocytes were separated from heparinized peripheral blood by gravity sedimentation method (through the den-sity medium-Conray 400-Ficoll).
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