書評
―伊藤達雄・服部孝道・山浦晶(編集)―臨床脊椎脊髄医学
橋元 隆
1
1九州リハビリテーション大学校
pp.750
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104629
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
わが国唯一の脊椎脊髄の専門誌,脊椎脊髄ジャーナルを刊行している三輪書店から「臨床脊椎脊髄医学」(伊藤達雄+服部孝道+山浦晶編集)が5月に出版された.「臨床」という名前のごとく脊椎脊髄疾患に関わる専門分野の枠を越えた50人による分担執筆で,全くのオリジナルである.
本書は603頁にわたり,総論,各論,今後の脊椎脊髄医学の展望の3部で構成されている.総論では発生学と解剖に始まり,生体力学,構造と機能,さらには脊髄の薬理,診断と検査,そして治療を横軸としてまとめ,各論では臨床で接することの多い疾患を病態,診断,治療,予後など基礎的知識から最新の知識までを縦軸として網羅している.展望では脊椎外科の将来について,今後は安定性,可動性,脊髄保護という脊柱本体の機能を満足しつつ,かつ無痛性が達成される術式,生体材料の開発が期待されると述べ,また各種脊柱疾患に対する整体,カイロプラクティック,鍼・灸などの各種民間治療法に対する科学的な解析と評価を行うことも必要であると言及している.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.